先日、映画『君のクイズ』を観ました。私は小説版の方を既に読んでおり、映画化したということで観にいった形になります。今回は映画の感想……ではなく、映画の中で「お、これいいな」と思った部分の話をします。映画版と小説版の両方のネタバレ注意です。ここから15行分下にいったところから始まります。
その前に、映画の全体的な感想についてちょっとだけ話します。簡単に言うと、小説の方が好みかなと思いました。謎を解明するための特番という存在がちょっと不自然かなというのと、本庄は功名心からクイズをやっていてほしい(願望)というのと、桐崎と別れた時の三島が口下手感出ちゃってるかな(小説の「どうしてこうなったんだろう……」感が好き)というのが私の気になったポイントたちです。そんな中でもここは面白いと思ったところがあって、それが今回の主題です。
小説版と映画版ではQ-1グランプリ決勝の問題セットにも若干の相違があり、特に答えが『UNDERTALE』になる問題が全く異なります。小説版では『UNDERTALE』の問題は、桐崎が遊んでいたというだけで特に強いエピソードが語られるわけではなく、決勝戦の途中の問題として現れます。ところが映画版では、三島と桐崎は一緒に『UNDERTALE』を遊んでおり、流産のエピソードと『UNDERTALE』のあるルートの話が重なって、三島が過去のクイズ大会で『UNDERTALE』を回答した際には泣いてしまった過去がある、という内容が描写されました。そして坂田は、三島が『UNDERTALE』に強い思い入れがあることを利用し、「ママ.クリーニング小野寺よ」の次の問題(「クリーニング小野寺」で決まらなかったときのための予備?)として控えさせていたのでした
私は、この改変は面白いと思いました。正味、これがあってもなくても物語には影響しないのですが、ちょっと細かい話です。小説版と映画版は共に、16問目に本庄が正解し、三島は6○1×、本庄が7○2×の状態で決着していました。両者2×になる可能性があったことを考えると(絶対にスルーにはならないような問題を選んでいるとして)、もう1問用意されていたと考えるのが普通ですが、小説版ではここには立ち入らず、16問目のことが「最終問題」として語られます。映画版で問題のセットがどうなっていたか覚えていないのですが(少なくとも、UNDERTALEが末尾に移り、三島が「ひまわり」で誤答した問題が途中に入っていたはず……)、小説版と同様と考えれば、こちらも17問目が用意されていたはずです。映画版では、その幻の17問目として『UNDERTALE』の問題が用意されていた、というのがエンドロールの中で明かされます。坂田は、最終問題に使えそうな題材を、本庄側から1個、そして三島側からも1個見出し、Q-1グランプリ決勝問題セットの末尾2問にそれらを仕込んでいたということになります。確かに、こちらのほうが丁寧な感じがします。また、小説版では『UNDERTALE』の問題は「モンスターたちの住む……」と始まるのですが、これがそのまま最終問題近くにあったのでは、「『ビューティフル、……」と始まる問題と、読み上げ開始時の口の形が似通ってしまい0文字押しのトリックが成り立たなくなってしまいます。そこで映画版では『UNDERTALE』の問題を「『誰も死ななくていいやさしいRPG』……」と始めることで0文字押しのトリックを成り立たせるとともに、「誰も死ななくていい」とは言うがルートによってはキャラが死ぬという『UNDERTALE』の特徴(映画内で三島と桐崎がUNDERTALEを遊んでいるときのゲーム画面で、キャラが死ぬシーンが映っていたと思います)が、流産やその後の関係解消のエピソードをさらに強調するという追加の効果さえも生んでいます。これは丁寧な仕事だと感心しました。
先日、映画『君のクイズ』を批判する記事を見かけ、読んでみました。概ね同意だなと思ったのですが、その記事では『UNDERTALE』の問題のところも批判されており、ちょっと解釈違いだったので、こうして私自身の手でも記事を書いてみました。序盤に批判ばっかり書いてしまいましたが、映画版は駄作だとかそんなことはなく、映画ならではの表現や演技で新たに感じ入ることも多々ありました。小説を読んでないよ、映画を観てないよという方には、どちらも是非おすすめしたい作品です。
あと小説版の方で、17問目、つまり7○3×でスルー問題無しのときの最大問題数17問の最後の問題の話ってどこかにありましたっけ?私が読み飛ばしているだけでしょうか?